日刊ひねくれ通信

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「村上さんのところ」は粋だ

アンチも多いだろうけど、私は十代のころから村上春樹の作品が好きでよく読んできた。彼の場合は、エッセイもまたじわじわと面白いのですね。笑わせる。そういうツボを心得ている人であると思う。だから小説以外も売れるのでしょう。

というわけで、「村上さんのところ」を読む。(一般読者からのメール相談に本人が送った返事の一部を編纂した本)。

この本で面白いのは、ひとつひとつの相談の間にある温度差だ。「そんなん、どうでもいいよ!」というものから、「うーん、自分で考えたら?」というもの、「お、重い…!」というものまで実にさまざま。

メールを送る側はもちろん、他の人がどんな相談をしているのか知らないわけだから、相談の深刻さ度合いがバラけるのは当然。それを全部つかまえてさばかなくちゃいけないのが村上さん本人、というわけですね。

例えばいろんな位置に予告なしにバラバラに飛んでくるボールを的確に打ち返す、ようなもので、これを読んでいると「すごいなあ、頭の体力が半端じゃないんだな」と私は感心する。しかも疲れて息切れしてる様子なんてみせない。いつも「あなたが初めての相談者です」という感じ。粋だね。

そのなかでも好きな応答をひとつ紹介。

「夢のなかで村上さんの家に行ったら、手づかみで夕食を食べていた」という相談者に、村上さんの答え。「あたりまえじゃないですか。うどんなんかは耳から食べています。また夢で会いましょう」。

粋だね!!

今日はここまで。

 

村上さんのところ

村上さんのところ